【少女☆歌劇 レヴュースタァライト 第12話 感想】星の砂
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」最終回、先週に引き続きいろいろと考察しないと理解が難しい回でしたが、みなさんはいかがでしたか?自分にとっては、先週に続いて悲しくも苦しい状態から一気に解消されるカタルシス爆発回でしたね。*1
最終的に勝ち抜いたひかりが選んだ「運命の舞台」は、永遠に続くスタァライトの孤独な再演でした。
砂漠からさがした小さな星のかけらを積んでは…
崩されるというのを永遠にくりかえす「運命の舞台」。そこにはひかり以外の存在はなく、助演も裏方もいない孤独の舞台。ロンドンのキリンオーディションでキラメキを奪われたひかり。他の参加者よりもキラメキが少ない状態であるにもかかわらず、合格者の特権である他の参加者からキラメキを奪うのを拒んだため、自らのキラメキをすべて差し出してもこれがせいいっぱいだったということでしょうか。
確かに悲惨な状態なのですが、これもまた戯曲「スタァライト」の筋書きとおりといえば筋書きとおり。
小さな星を摘んだなら あなたは小さな幸せを手に入れる
大きな星を摘んだなら あなたは大きな富を手に入れる
その両方を摘んだなら あなたは永遠の願いを手に入れる
星詰みは罪の赦し
星詰みは夜の奇跡
お持ちなさい あなたの望んだその星を
二人の夢はかなわないのよ
こうして二人は永遠に離れ離れになり
そして頭上には 永遠に星々がまたたき続けるのだった
スタァライト これは遠い星の ずっと昔の はるか未来のおはなし
華恋が独力でたどりついた翻訳のとおり、最終的に塔に主役クレールは幽閉され、二人ははなればなれになり、「二人の夢はかなわない」。空に配置された小さな星と大きな星を摘もうと、延々とひとり孤独に再演をしていたわけです。
そこに観客として招待されたのが華恋。ところがやはり飛び入り参加してしまいます。
だけれども、キラメキを消費しているひかりにはもう華恋が誰なのかすらわかりません。ところがここは先週の展開と矛盾しているんですよね。
華恋の問いに対してひかりは「覚えてるよ、あの約束のこと」と回答しているんです。自分なりにいろいろ思案したのですが、先週の最後で華恋がひかりにやっと意思疎通が可能になるまで、ひかりは完全に記憶もなにもかも失って戯曲「スタァライト」を延々と演じていたのだと思うのです。
そこを先週の意思疎通で記憶を少しづつ思い出してきたのではないかと。さらに華恋という観客が入ることで孤独の舞台ではなくなり思い出したのではないかと。*2おそらくそれ以降は華恋を巻き込みたくないためにあえて嘘をついていたのではないかなと思うんです。
華恋の望みはひかりと二人でスタァになること。そのためにこの孤独の舞台からひかりを連れ戻すこと。だけどもひかりがこの「運命の舞台」を降りることは、永遠の再演をやめること。それはまた誰かのキラメキを奪い奪われるのに華恋を巻き込むこと。ひかりは他人のキラメキを奪おうとした罪を背負って生きようとしているわけです。それが星を摘もうとした罪=星罪。
ひかりは華恋の救いも拒絶します、華恋を巻き込まないために。結末は戯曲「スタァライト」の通りに幕を閉じます。「二人の夢はかなわないのよ」
ノンノンだよ…ずっと幽閉されていたんだね…私達の罪を背負って…
華恋は舞台の終焉をアンコールという形でこじあけます。「塔から落ちても立ち上がったフローラもいるはず」と物語を新たに作り出します。華恋は戯曲「スタァライト」で強く共感をするフローラそのものになって、私がフローラならそうするといわんばかりに…
運命の再生産を!
二人の約束の象徴ともいえる東京タワーが、わかれた二人をつなぐ橋になりタワーブリッジに…ロンドン時代にはね上がったままにしたタワーブリッジを、ひかりが二人の約束を失いかけた証ととると、華恋の東京タワーで約束でつなぎなおし、タワーブリッジを再生産する=約束をつなぎなおすということなのでしょう。
「星罪」は「星摘み」へ。新章を二人は作り出したのです。
ポジション・ゼロ
いままではたった一人が何度も宣言してきたこの台詞。二人の約束の通り、二人でポジション・ゼロ…華恋がかつてひかりに提案した「二人で」がきちんと形になっているのは本当にすごいですよね…。
その結果、彼女たちのスタァライトは変わります。
小さな星を摘んだなら あなたは小さな幸せを手に入れる
大きな星を摘んだなら あなたは大きな富を手に入れる
その両方を摘んだなら あなたは永遠の願いを手に入れる
星詰みは罪の赦し
星詰みは夜の奇跡
お持ちなさい あなたの望んだその星を
みつけたよ 私たちの星を
みつけたね 私たちの運命
スタァライト これは運命で結ばれた
九人の舞台少女達が紡ぐ 新しい永遠の物語
思えば第1話で華恋が飛び入り参加してはじまったこの物語は、最後も華恋が飛び入り参加で終わらせた物語でした。*3
スタァライトのアニメが新しいと感じたのは、考察をしないでも直感的に楽しめるところですね。ややもすると難解で意味がわかりにくく爽快感も失いがちなんですよね、こういう暗喩とかを演出でみせる作品って。でもスタァライトのすごいところは、まずは考えずにザッと見て、ひとしきり感情的に見ることができることです。
そうして見ているうちになんとなく気になる事があって、何度も見返すうちに細かい演出とか考察を楽しめるようになるというさじ加減が絶妙じゃないかなと思いますね。
何も考えずに見てもおもしろいし、何度も見返すと細かい演出が気になるし、深読みするといろいろ考えさせられる。いろんなニーズに答えられる、本当によくできていると思います。
実際、まだ理解が足りないなというところも沢山ありますし、最終回でも二人の絡みをもっと読み込んでもっと書きたいなぁと思う状況ですが、あまりにも冗長がすぎるのでまた別の機会にと思います。
さてアニメも大変おもしろく終わったところで舞台#2です!はたして基本設定はそのままにアニメとどうつながるのか?それとも舞台#1とのつながりだけなのか?#2ベースのアニメは作られる予定はあるのか?などまだ始まったばかりのコンテンツ!これからも
すべてはスタァライトのために!